吐魯番 トルファン

ウルムチからトルファンに向う。

見渡す限り、石礫の平原と草木を持たない黒山が続く。

一転して、周りは黄土の砂漠と姿を変える。ゴビ砂漠の西の始まりである。遠く蜃気楼のように山脈が見えるが、ず〜うっと360度砂漠だけだ。

半日かかってトルファンに着いた。石礫と砂漠を走り続けた。

トルファンの夜

ぶどう棚の下で、ウイグル舞踏が演じられるという。行ってみよう。

民族楽器がすばらしい旋律を奏でる。綺麗な舞姫が伝統の皿踊り、マイクで歌うウイグルの歌。郷愁のある歌だ。それにしてもマイクの女性綺麗や。昔の五月みどりみたいや。(ちょっと古いなあ)
ただ、早く資生堂さんがトルファンに進出しないといけないなあ、と思った。


高昌故城

漢族の麹文泰が491年に建てた高昌国の城跡で、歴史的には、漢代の武帝が置いた郡が独立したことに始まる。628年ころには、玄奘三蔵がこの高昌国に立ち寄り講義をしたといわれる。しかし、その直後には、唐によって滅亡の途をたどった。

現在のトルファン市内から南東46`のところにある。

老人が歓迎の踊りを演じてくれた。
土産物を売る子どもたちと仲良くなった。自転車を貸してくれた。その子とふたり乗りで故城を廻った。


アスターナ古墳

高昌国時代の貴族の古墳群で、その数は数百という。
高松塚古墳や仁徳天皇陵とはえらい違いで、ただ土壌がむきだしの広場にあちこち土饅頭のような盛り上がりがあるだけ。数百というから私の足元の下も墳墓があるのかもしれない。
それにしても、墓標もなく、ただの荒地のようなところがすごい。こんな所に日本からやってきたこともすごい。

公開されている一つの墳墓に入った。中には、ガラスケースに入った男女のミイラが安置されていた。
どなたか判りませんが、静かに眠りたいでしょうに・・・。


ベゼクリク石窟寺院

石窟寺院はムルトク河沿いの断崖にある。
ベゼクリクとはウイグル語で、「美しく飾られた家」。6世紀の隋の時代から14世紀まで、この石窟寺院には多くの壁画や仏像が造られた。
しかし、イスラム教徒、外国人探検家によって、あるものは破壊され、あるものは海外に持ち出されてしまった。さらに文化革命の時代には、紅衛兵の手で天井の仏画まで全てをたたき壊された。泥を塗りつけた仏顔が痛々しい。

龍谷大学

誓願図「デイーパンカラ佛授記」

かつて第9号窟に描かれていた仏教壁画をデジタル復元したものである。

この壁画は、1905年ドイツ隊によって持ち去られた後、第2次世界大戦の戦火で破壊され、ほとんど現存しない。龍谷大学古典籍デジタルアーカイブ研究センターでは、唯一残された図録の白黒写真をもとに、発掘当時の記録や他の仏画を参考にしながら、最新のCG技術を駆使し、2003年デジタル復元に成功した。さらに原寸大の陶板画に仕上げ、現在2枚の誓願図は大宮図書館の正面玄関ホール左右に飾られている。


火焔山

トルファン盆地の北端に100`にわたって連なる山脈。
この山では、日中、気温が40℃を超えると辺りの地表温度は60℃以上にもなり、赤いシワの山脈は陽炎で炎のようにゆらめく。
「西遊記」の舞台となったところで、そのモデル玄奘三蔵は、7世紀の初めにここを通過している。
孫悟空が妖女・鉄扇公主と闘い、芭蕉扇で炎を消して一帯草木の緑にしたというお話。
・・・・・・
「上に飛鳥なく、地に走獣なし。見晴るかす限り道はなく、死者の枯骨を標識とするのみ」
シルクロードを渡ってインドに向った求法僧・法顕の「仏国記」の名文句である。

涼州詞 一   王翰  

  葡萄美酒夜光杯     葡萄(ぶどう)美酒(びしゅ) 夜光(やこう)(はい)
  欲飮琵琶馬上催     ()まんと(ほっ)すれば 琵琶(びわ) 馬上(ばじょう)(うなが)
  醉臥沙場君莫笑     ()うて()()()すとも (きみ)(わら)うこと()かれ
  
古來征戦幾人回    ()(らい)征戦(せいせん) 幾人(いくにん)(かえ)    

ただし、涼州はこの地ではなく、もう少し南東の、現在の甘粛省武威辺り

ぶどう畑


ぶどうを乾燥させる小屋・遠くに火焔山

どうしてこんな砂漠の中にぶどう畑があるのだろう。
トルファンは天山の雪融け水によって潤うオアシスの町だ。

カレーズ

毎年夏がくると、天山の氷雪が融けて集り、河となり水音を轟かせつつ山あいの谷を流れ下る。しかし、ゴビの砂礫地帯に流れ入ると、砂原深く滲み通ってしまう。大量に滲み込んだ雪融け水は伏水となって砂礫地帯の地下に大きな「ダム」を作る。
カレーズは、これらの「地下ダム」の水を地上に引き出す灌漑方式である。長城・大運河とあわせて「中国三大土木工事」といわれる。
カレーズの中は真っ暗で写真は撮れない。冷たい雪融け水が足元を流れる。
この水の恵みで緑が育つ。地上は40℃を越える。糖度の高い果物が育つ。ぶどう、スイカ、そしてハミウリというメロンのように甘いウリ。

ぶどう小屋の中


乾燥小屋の内部

干しぶどうを作る

1kgが12元(160円)

旅のあいだポケットに干しぶどうを忍ばせて食べていたが、日本に帰っててもまだ残っていた。1kgってたくさんある。


交河故城

トルファン盆地の西端の台地に築かれた故城は、前漢の時代、車師前国の国都として栄えた都市である。
元代にはさびれ、今ではその面影はなく、荒涼としたなかに城壁跡を残す。

イスラム教徒は仏の顔をことごとく破壊した。(写真中)
さすが40℃を越えると暑い。だが汗がでない。肌から直接空気中に蒸発しているようだ。手に持つ「六甲のおいしい水」が湯になっていた。(写真右)

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