西田公園万葉植物苑  西宮市西田町

しひ(シイ)

家なれば 笥に盛る飯を 草枕

 旅にしあれば 椎の葉に盛る

巻2−142

しらかし(シラカシ)

あしひきの 山道も知らず 白橿の

 枝もとををに 雪の降れれば

巻10−2315

やまぶき(ヤマブキ)

山吹の 立ちよそひたる 山清水

 汲みに行かめど 道の知らなく

巻2−158

まゆみ(マユミ)

南淵の 細川山に 立つ檀

 弓束巻くまで 人に知らえじ

巻7−1330

あしび(アセビ)

池水に 影さへ見えて 咲きにほふ

 馬酔木の花を 袖に扱入れな

巻20−4512

あふち(センダン)

妹が見し 楝の花は 散りぬべし

 我が泣く涙 いまだ干なくに

巻5−798

つつじ(ヤマツツジ)

水伝ふ 磯の浦みの 岩つつじ

 茂く咲く道を またも見むかも

巻2−185

しらつつじ(シロツツジ)

栲領巾の 鷺坂山の 白つつじ

 我れににほはに 妹に示さむ

巻9−1694

ゆり(ササユチ)

道の辺の 草深百合の 花笑みに

 笑みしがからに 妻と言ふべしや

巻7−1257

くり(クリ)

瓜食めば 子ども思ほゆ 栗食めば

 まして偲はゆ ・・・ 安寐し寝さぬ

巻5−802

ささ(クマザサ)

笹の葉は み山もさやに さやけども

 我れは妹思ふ 別れ来ぬれば

巻2−133

ゆり(ヤマユリ)

道の辺の 草深百合の 花笑みに

 笑みしがからに 妻と言ふべしや

巻7−1257

かしは(カシワ)

印南野の 赤ら柏は 時はあれど

 君を我が思ふ 時はさねなし

巻20−4301

つるはみ(クヌギ)

橡の 衣は人皆 事なしと

 言ひし時より 着欲しく思ほゆ

巻7−1311

まつ(マツ)

一つ松 幾代か経ぬる 吹く風の

 音の清きは 年深みかも

巻6−1042

ひめゆり(ヒメユリ)

夏の野の 茂みに咲ける 姫百合の

 知らえぬ恋は 苦しきものぞ

巻8−1500

やますげ(ジャノヒゲ

ぬばたまの 黒髪山の 山菅に

 小雨降りしき しくしく思ほゆ

巻11−2456

さかき(サカキ

ひさかたの ・・・ 賢木の枝に 

しらか付け ・・・ 君に逢はじかも

巻3−379

つまま(タブノキ)

磯の上の つままを見れば 根を延へて

 年深からし 神さびにけり

巻10−4159

つばき(ヤブツバキ)

巨勢山の つらつら椿 つらつらに

 見つつ偲はな 巨勢の春野を

巻1−54

ゆづるは(ユズリハ)

いにしへに 恋ふる鳥かも 弓弦葉の

 御井の上より 鳴き渡り行く

巻2−111

さくら(ヤマザクラ)

梅の花 咲きて散りなば 桜花

 継ぎて咲くべく なりにてあらずや

巻5−829

やまたちばな(ヤブコウジ)

あしひきの 山橘の 色に出でて

 我は恋ひなむを 人目難みすな

巻11−2767

ちち(イヌビワ)

ちちの実の 父の命 ははそ葉の

 ・・・ 名を立つべしも

巻19−4164

かへるて(ヤマモミジ)

児毛知山 若かへるての もみつまで

 寝もと我は思ふ 汝はあどか思ふ

巻14−3494

ひさき(アカメガシワ)

ぬばたまの 夜の更けゆけば 久木生ふる

 清き川原に 千鳥しば鳴く

巻6−925

ははそ(コナラ)

山科の 石田の小野の ははそ原

 見つつか君が 山道越ゆらむ

巻9−1730

わすれぐさ(カンゾウ)

忘れ草 我が下紐に 付けたれど

 醜の醜草 言にしありけり

巻4−727

え(エノキ)

我が門の 榎の実もり食む 百千鳥

 千鳥は来れど 君ぞ来まさぬ

16−3872

からたち(カラタチ)

からたちと 茨刈り除け 倉建てむ

 屎遠くまれ 櫛造る刀自

巻16−3832

やまたづ(ニワトコ)

君が行き 日長くなりぬ 山たづの

 迎へを行かむ 待つには待たじ

巻2−90

かへるて(ヤマモミジ)

児毛知山 若かへるての もみつまで

 寝もと我は思ふ 汝はあどか思ふ

巻14−3494

ねぶ(ネムノキ)

昼は咲き 夜は恋ひ寝る 合歓木の花

 君のみ見めや 戯奴さへに見よ

巻8−1461

うめ(ウメ)

我が園に 梅の花散る ひさかたの

 天より雪の 流れ来るかも

巻5−822

なつめ(ナツメ)

玉箒 刈り来鎌麻呂 むろの木と

 棗が本と かき掃かむため

巻16−3830

もも(モモ)

春の園 紅にほふ 桃の花

 下照る道に 出で立つ娘子

巻19−4139

たちばな(ミカン)

橘は 実さへ花さへ その葉さへ

 枝に霜降れど いや常葉の木

巻6−1009

くれなゐ(ベニバナ)

紅の 深染めの衣 下に着て

 上に取り着ば 言なさむかも

巻7−1313

さきくさ(ミツマタ)

春されば まづさきくさの 幸くあらば

 後にも逢はむ な恋ひそ我妹

巻10−1895

なでしこ(ナデシコ)

我がやどの 蒔きしなでしこ いつしかも

 花に咲きなむ なそへつつ見む

巻8−1448

むらさき(ムラサキ)

紫草の にほへる妹を 憎くあらば

 人妻ゆゑに 我れ恋ひめやも

巻1−21

あぢさゐ(アジサイ)

あぢさゐの 八重咲くごとく 八つ代にを

 いませ我が背子 見つつ偲はむ

巻20−4448

すもも(スモモ)

我が園の 李の花か 庭に散る

 はだれのいまだ 残りてあるかも

巻19−4140

さなかづら(サネカズラ)

あしひきの 山さな葛 もみつまで

 妹に逢はずや 我が恋ひ居らむ

巻10−2296

つな(テイカカズラ)

石つなの またをちかへり あをによし

 奈良の都を またも見むかも

巻6−1046

ぬばたま(ヒオウギ)

居明かして 君をば待たむ ぬばたまの

 我が黒髪に 霜は降るとも

巻2−89

かつら(カツラ)

向つ峰の 若桂の木 下枝取り

 花待つい間に 嘆きつるかも

巻7−1359

くは(クワ)

筑波嶺の 新桑繭の 衣はあれど

 君が御衣し あやに着欲しも

巻14−3350

あかね(アカネ)

あかねさす 紫野行き 標野行き

 野守は見ずや 君が袖振る

巻1−20

ほほがしは(ホオノキ)

我が背子が 捧げて持てる ほほがしは

 あたかも似るか 青き蓋

巻19−4204

たへ(コウゾ)

春過ぎて 夏来るらし 白栲の

 衣干したり 天の香具山

巻1−28

わた(ワタ)

しらぬひ 筑紫の綿は 身に付けて

 いまだは着ねど 暖けく見ゆ

巻3−336

はぎ(ハギ)

高円の 野辺の秋萩 いたづらに

 咲きか散るたむ 見る人なしに

巻2−231

はねず(ニワウメ)

夏まけて 咲きたるはねず ひさかたの

 雨うち降らば うつろひなむか

巻8−1485

はまゆふ(ハマオモト)

み熊野の 浦の浜木綿 百重なす

 心は思へど 直に逢はぬかも

巻4−496

つき(ケヤキ)

早来ても 見てましものを 山背の

 多賀の槻群 散りにけるかも

巻3−277

なし(ナシ)

露霜の 寒き夕の 秋風に

 もみちにけらし 妻梨の木は

巻10−2189

ふぢ(フジ)

藤波の 花は盛りに なりにけり

 奈良の都を 思ほすや君

巻3−330

をばな(ススキ)

秋づけば 尾花が上に 置く霜の

 消ぬべくも我は 思ほゆるかも

巻8−1564

ちさ(エゴノキ)

大汝 ・・・ ちさの花 咲ける盛りに

 ・・・ すべもすべなさ

巻18−4106

なでしこ(ナデシコ)

我がやどの 蒔きしなでしこ いつしかも

 花に咲きなむ なそへつつ見む

巻8−1448

をみなへし(オミナエシ)

をみなへし 咲きたる野辺を 行き廻り

 君を思ひ出 た廻り来ぬ

巻17−3944

ももよぐさ(ノジギク)

父母が 殿の後方の ももよ草

 百代いでませ 我が来るまで

巻20−4326

かづのき(ヌルデ)

足柄の わを可鶏山の かづの木の

 我を誘さねも 門さかずとも

巻14−3432

みら(ニラ)

伎波都久の 岡のくくみら 我れ摘めど

 籠にも満たなふ 背なと摘まさね

巻14−3444

ひる(ノビル)

醤酢に 蒜搗き合てて 鯛願ふ

 我れにな見えそ 水葱の羮

巻16−3829

たで(タデ)

童ども 草はな刈りそ 八穂蓼を

 穂積の朝臣が 腋草を刈れ

巻16−3842

うのはな(ウツギ)

ほととぎす 来鳴き響もす 卯の花の

 伴にや来しと 問はましものを

巻8−1472

うまら(ノイバラ)

道の辺の 茨の末に 延ほ豆の

 からまる君を はかれか行かむ

巻20−4352

あさがほ(キキョウ)

萩の花 尾花葛花 なでしこの花

 をみなへし また藤袴 朝顔の花

8−1538

いちし(ヒガンバナ)

道の辺の いちしの花の いちしろく

 人皆知りぬ 我が恋妻は

巻11−2480

あさがほ(キキョウ)

萩の花 尾花葛花 なでしこの花

 をみなへし また藤袴 朝顔の花巻

8−1538

     

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