年魚道の水

愛知県名古屋市瑞穂区師長町

小治田の 年魚道の水を 間なくぞ 人は汲むといふ 時じくぞ 人は飲むといふ 汲む人の 間なきがごと

飲む人の 時じきがごと 我妹子に 我が恋ふらくは やむ時もなし  巻13−3260

歌にある「小治田」とは小墾田とも書き、推古天皇の小墾田宮、皇極天皇も一時宮とした「小治田」とすると、

明日香村の小治田か、梅原猛さんがいう桜井市大福の小墾田ということになる。

でもなぜか名古屋市瑞穂区に「あゆちの水」がある。

「小治田」を「尾張田」と読みとることが合っているのかは素人には解らない。

ただ、巻3−271や巻7−1163に詠まれる「年魚市潟」は名古屋市熱田区・南区にあった入海の海岸ということで、

この辺りに「あゆち水」があってもいいかと納得している。

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この井戸と歌碑を訪ねるのに苦労した。

瑞穂グランドの近くなのだが、都会の真ん中で「あゆち水」といっても知る人もなく、

あちこち歩きまわってようやく「あ」の井戸を見つけたときはほっとした。

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この「あゆち」は「あいち」、県名の語源ともいわれる。

この井戸、大切にしてほしい

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年魚市潟

年魚市潟 潮干にけらし 知多の浦に 朝漕ぐ舟も 沖に寄るみゆ  巻7−1163

白毫寺(南区岩戸町)に、「年魚市潟勝景」碑が立つ。

しかし周囲は住宅街がひろがり、海も入江も潟もなんも見えん。

万葉歌碑がある。

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高市連黒人が羈旅の歌

桜田へ 鶴鳴き渡る 年魚市潟 潮干にけらし 鶴鳴き渡る  巻3−271

桜田八幡社(南区楠町)に「桜田勝景」碑が立つ。

この辺り、歌に詠まれた桜田である。万葉歌碑も立つ。

村上社(南区楠町)にも、万葉歌碑がある。

桜田中学校校庭(南区中江)にも歌碑がある。

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