馬来田

千葉県木更津市真里谷

馬来田の 嶺ろの笹葉の 露霜の 濡れて我来なば 汝は恋ふばぞも  巻14−3382

馬来田の 嶺ろに隠り居 かくだにも 国の遠かば 汝が目欲りせむ  巻14−3383

右の二首は上総の国の歌

JR久留里線、二両編成の電車が馬来田駅に着く。

切符を車掌が受け取る。他に降りる人もなく、小さな駅に降り立った。

万葉に詠まれた「馬来田」の駅名が目に入る。

ここだな、とちょっと感動を覚える。

この町に4基の万葉歌碑があり、まず駅前の歌碑を確認し、秋爽やかな風に迎えられて、馬来田のぶらり散策をスタート。

東方にしばらく歩くと武田川、川沿いにさらに進むと写真のような静かな草野に出た。

コスモスが咲き、遠くに丘陵が見える。

これが「馬来田の嶺ろ」かどうかは分らないが、写真に収めた。

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「馬来田」がどこの地とは定めがたく、諸説あるらしい。

上総国望陀(まうだ)郡が万葉でいう「宇麻具多」だといわれる。

現在の袖ヶ浦市・木更津市を流れる小櫃川流域で、今も望陀の地名が残る。

今日私が訪ねた地はその小櫃川のさらに上流にあたる。

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若者が笹群に衣を濡らしながら恋する彼女のもとへ通う、

そんな馬来田を私は今満喫している。

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万葉歌碑

木更津市真里谷 武田川沿い  巻14−3382

木更津市真里谷 JR馬来田駅前  巻14−3383

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望陀の郡の防人の歌がある。

旅衣 八重着重ねて 寐のれども なほ肌寒し 妹にしあらねば  巻20−4351

右の一首は望陀の郡の上丁玉造部国忍

木更津市真里谷 「小さな路の駅」  巻20−4351

なぜか家持の歌碑もある。

春の野に 霞たなびき うら悲し この夕影に うぐひす鳴くも  巻10−4290

木更津市真里谷 武田川町原橋畔  巻19−4290

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