蓑島  美野島

福岡市博多区美野島

筑前の国怡土の郡深江の村子負の原に、海に臨める丘の上に二つの石あり。

大きなるは、長一尺二寸六分、囲み一尺八寸六分、重さ十八斤五両、小さきは、長一尺一寸、囲み一尺八寸、重さ十六斤十両。

ともに楕円く、状鶏子のごとし。

その美好しきこと、勝げて論ふべからず。いはゆる径尺の璧これなり。

或いは「この二つの石は肥前の国彼杵の郡平敷の石なり、占に当りて取る」といふ。

深江の駅家を去ること二十里ばかり、路の頭に近くあり。公私の往来に、馬より下りて跪拝せずといふことなし。

古老相伝へて、

「往者、息長足日女命、新羅の国を征討したまふ時に、この両つの石をもちて、御袖の中に挿著みて鎮懐と為したまふ。

実には御裳の中なり。このゆゑに行人この石を敬拝す」といふ。すなはち歌を作りて曰はく、

巻5−813・814の序

・・・

右の事、伝へ言ふは、那珂の郡伊知の郷蓑島の人建部牛麻呂なり

巻5−813・814の左註

新幹線博多駅から南に1`ほどのところに美野島がある。

「みのしま公園」に「萬葉遺跡・蓑島の碑」はある。

建部牛麻呂はこの地出身という。

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