風早の浦

広島県東広島市安芸津町風早

風早の浦に船泊りする夜に作る歌二首

我がゆゑに 妹嘆くらし 風早の 浦の沖辺に 霧たなびけり  巻15−3615

沖つ風 いたく吹きせば 我妹子が 嘆きの霧に 飽かましものを  巻15−3616

誰そ彼がせまるころ、風早に着いた。夕焼けに映える風早の浦。

ここに遣新羅使人たちは船泊りをした。

・・・

旅立ちのとき、妻は

君が行く 海辺の宿に 霧立たば 我が立ち嘆く 息と知りませ  巻15−3580

と詠った。秋には帰ってくるからと、

秋さらば 相見むものを 何しかも 霧に立つべく 嘆きしまさむ  巻15−3581

と答えたものの、この風早で霧がたなびき、妻への想いは強くなるばかりだ。

・・・・・

この夕焼けを見ていると、旅の私もふと郷愁をおぼえてしまう。旅の夕焼けは淋しい。

風早の山手に祝詞山八幡神社があり、ここに万葉歌碑がある。歌碑の傍には「遣新羅使人」の大きな陶壁がある。

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