筑波嶺 筑波山

茨城県つくば市

筑波の岳に登りて、丹比真人国人が作る歌一首 并せて短歌

鶏が鳴く 東の国に 高山は さはにあれども 二神の 貴き山の 並み立ちの 見が欲し山と 神代より 人の言ひ継ぎ

国見する 筑波の山を 冬こもり 時じき時と 見ずて行かば まして恋しみ 雪消する 山道すらを なづみぞ我が来る  巻3−382

反歌

筑波嶺を 外のみ見つつ ありかねて 雪消の道を なづみ来るかも  巻3−383

筑波山の周辺には、あちこち万葉歌碑がある。詳しくは、万葉歌碑一覧で。

筑波山神社  つくば市筑波町

筑波山にはロープウェイがあり山頂まで登れるのだが、神社に着いたのは夕方5時近くになってしまった。

テクノパークで20基の歌碑を捜すのに相当の時間を費やしてしまったから。

ハイテクの研究所が広々とした緑の中に建てられているが、その広大な敷地内の道路を隈なく捜さねばならないとは、

なんとアナログなロウテク行動なのだ。

筑波山には次の機会に登ろう。歌垣が開催される時がいいな。

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検税使大伴卿が、筑波山に登る時の歌一首 并せて短歌

衣手 常陸の国の 二並ぶ 筑波の山を 見まく欲り 君来ませりと 暑けくに 汗かき嘆き 木の根取り うそぶき登り

 峰の上を 君に見すれば 男神も 許したまひ 女神も ちはひたまひて 時となく 雲居雨降る 筑波嶺を さやに照らして

 いふかりし 国のまほらを つばらかに 示したまへば 嬉しみと 紐の緒解きて 家のごと 解けてぞ遊ぶ うち靡く

 春見ましゆは 夏草の 茂くはあれど 今日の楽しさ  巻9−1753

反歌

今日の日に いかにかしかむ 筑波嶺に 昔の人の 来けむその日も  巻9−1754

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筑波山神社境内には4基の万葉歌碑がある。

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蚕影山神社  つくば市神部

筑波嶺の 新桑繭の 衣はあれど 君が御衣し あやに着欲しも  巻14−3350

「筑波嶺の 新桑繭の 衣はあれど…」と詠まれるこの筑波山の麓に、養蚕の守り神の社がある。

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名神社  つくば市臼井稲野

筑波嶺に 雪かも降らる いなをかも 愛しき子ろが 布乾さるかも  巻14−3351

この歌の碑がある神社

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筑波ふれあいの里  つくば市臼井

筑波嶺に登りて?歌会を為る日に作る歌

鷲の住む 筑波の山の 裳羽服津の その津の上に 率ひて 娘子壮士の 行き集ひ かがふ?歌に 人妻に 我も交はらむ

 我が妻に 人も言とへ この山を うしはく神の 昔より 禁めぬわざぞ 今日のみは めぐしもな見そ 事もとがむな  巻9−1759

反歌

男神に 雲立ち上り しぐれ降り 濡れ通るとも 我れ帰らめや  巻9−1760

つくばふれあいの里に、この歌碑がある。

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つくばテクノパーク大穂

テクノパークのあちこちに20基の歌碑をが立つ。

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新治からの筑波嶺

新治・・・筑波山西北の郡名、下妻辺り

大宝八幡宮  下妻市大宝

筑波山に登る歌一首 并せて短歌

草枕 旅の憂へを 慰もる こともありやと 筑波嶺に 登りて見れば 尾花散る 師付の田居に 雁がねも 寒く来鳴きぬ

新治の 鳥羽の淡海も 秋風に 白波立ちぬ 筑波嶺の よけくを見れば 長き日に 思ひ積み来し 憂へはやみぬ  巻9−1757

反歌

筑波嶺の 裾みの田居に 秋田刈る 妹がり遣らむ 黄葉手折らな  巻9−1758

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筑波嶺の さ百合の花の 夜床にも 愛しけ妹ぞ 昼も愛しけ  巻20−4369

大宝八幡宮にはこの三首の歌碑がある。

「鳥羽の淡海」

小貝川近くの沼地を鳥羽の淡海というらしい。

下妻市比毛・糸繰川堤防に歌碑が立つ。

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夕映えの筑波山  筑西市

宮山ふるさとふれあい公園  筑西市宮山

「筑波嶺の 新桑繭の ・・・」の歌碑が立つ。

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