大原の里

奈良県高市郡明日香村小原

天皇、藤原夫人に賜ふ御歌一首

我が里に 大雪降れり 大原の 古りにし里に 降らまくは後  巻2−103

吾里尓 大雪落有 大原乃 古尓之郷尓 落巻者後

 

藤原夫人、和へ奉る歌一首

我が岡の おかみに言ひて 降らしめし 雪のくだけし そこに散りけむ  巻2−104

吾岡之 於可美尓言而 令落 雪之摧之 彼所尓塵家武

明日香村・飛鳥坐神社の脇道を少し山手に上ると、今は小原と書く藤原氏の里「大原」である。

こんもりとした丘陵があり、藤原鎌足の生母である大伴夫人の墓がある。

その近くにある小原神社には、この地で鎌足が生まれたと示す「大織冠誕生舊址」の石標が立つ。

 

万葉歌碑

小原神社境内には、万葉歌碑も立つ。天武天皇と藤原夫人の唱和返答歌である。

藤原夫人とは、鎌足の娘、五百重娘、新田部皇子の母である。

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志貴皇子もこの大原の地を詠う。

志貴皇子の御歌一首

大原の このいち柴の いつしかと 我が思ふ妹に 今夜逢へるかも  巻4−513

大原之 此市柴乃 何時鹿跡 吾念妹尓 今夜相有香裳

万葉歌碑が、明日香村小原の万葉文化館入口交差点にある。

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他に、大原の地を詠う一首

大原の 古りにし里に 妹を置きて 我れ寐ねかねつ 夢に見えこそ  巻11−2587

大原 古郷 妹置 吾稲金津 夢所見乍

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