淡海の海

滋賀県・琵琶湖

柿本朝臣人麻呂が歌一首

淡海の海 夕浪千鳥 汝が鳴けば 情もしのに 古思ほゆ  巻3−266

(賤ヶ岳から)

大后の御歌一首

鯨魚取り 淡海の海を 沖放けて 漕ぎ来る船 辺付きて 漕ぎ来る船 沖つ櫂

いたくな撥ねそ 辺つ櫂 いたくな撥ねそ 若草の 夫の 思ふ鳥立つ  巻2−153

高市連黒人が羈旅の歌

磯の崎 漕ぎ廻み行けば 淡海の海 八十の港に 鶴さはに鳴く  巻3−273

(大崎)

淡海の海 港は八十ち いづくにか 君が舟泊て 草結びけむ  巻7−1169

淡海の海 波畏みと 風まもり 年はや経なむ 漕ぐとはなしに  巻7−1390

(竹生島)

淡海の海 沖つ白波 知らずとも 妹がりといはば 七日越え来む  巻11−2435

淡海の海 沖つ島山 奥まけて 我が思ふ妹を 言の繁けく  巻11−2439

(蓬莱山から)

淡海の海 沖漕ぐ舟の いかり下ろし 忍びて君が 言待つ我れぞ  巻11−2440

淡海の海 沈く白玉 知らずして 恋せしよりは 今こそまされ  巻11−2445

(比良山から)

淡海の海 沖つ島山 奥まへて 我が思ふ妹が 言の繁けく   巻11−2728

淡海の海 辺は人知る 沖つ波 君をおきては 知る人もなし  巻12−3027

(琵琶湖大橋)

あをによし 奈良山過ぎて もののふの 宇治川渡り 娘子らに 逢坂山に 手向けくさ 幣取り置きて 我妹子に

 淡海の海の 沖つ波 来寄る浜辺を くれくれと ひとりぞ我が来る 妹が目を欲り  巻13−3237

反歌

逢坂を うち出でて見れば 淡海の海 白木綿花に 波立ちわたる  巻13−3238

(比叡山から)

淡海の海 泊り八十あり 八十島の 島の崎々 あり立てる 花橘を ほつ枝に もち引き懸け 中つ枝に 斑鳩懸け

下枝に 比米を懸け 汝が母を 取らくを知らに 汝が父を 取らくを知らに いそばひ居るよ 斑鳩と比米と  巻13−3239

(渡り鳥たち)

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