石見の海 辛の崎 大崎鼻

島根県江津市波子町

つのさはふ 石見の海の 言さへく 辛の崎なる 海石にぞ 深海松生ふる 荒磯にぞ 玉藻は生ふる 玉藻なす 靡き寝し子を

深海松の 深めて思へど さ寝し夜は 幾時もあらず 延ふ蔦の 別れし来れば 肝向ふ 心を痛み 思ひつつ かへり見すれど

大船の 渡の山の 黄葉の 散りの乱ひに 妹が袖 さやにも見えず 妻ごもる 屋上の山の 雲間より 渡らふ月の 惜しけども

隠らひ来れば 天伝ふ 入日さしぬれ ますらをと 思へる我れも 敷栲の 衣の袖は 通りて濡れぬ  巻2−135

反歌二首

青駒が 足掻きを速み 雲居にぞ 妹があたりを 過ぎて来にける  巻2−136

秋山に 散らふ黄葉 しましくは な散り乱ひそ 妹があたり見む  巻2−137

辛の崎
江津市波子町の大崎鼻に立つ。

ここから東西に長い砂浜の「角の浜」が広がるが、この荒磯は絶壁のようで波も荒く砕ける。

辛の崎の候補地はここ大崎鼻のほかに、仁摩町の韓島説、浜田市唐鐘などがあるが、澤潟久孝先生はここを比定された。

大崎鼻近くの石見海浜公園に澤潟先生の万葉歌碑が建つ。

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