三保の浦

静岡市清水区三保

風早の 三穂の浦みを 漕ぐ舟の 舟人騒く 波立つらしも  巻7−1228

三保の松原

羽衣伝説で有名な三保の松原、広い砂浜と松の林、富士を眺望しながら打ち寄せる波音を聞く。

『駿河國風土記』 逸文

風土記を案ずるに、古老傳へて言はく、昔、神女あり。天より降り来て、羽衣を松の枝に曝しき。

漁人、拾ひ得て見るに、其の輕く軟きこと言ふべからず。所謂六銖の衣か、織姫の機中の物か。

神女乞へども、漁人與へず。神女、天に上らむと欲へども羽衣なし。是に遂に漁人と夫婦と為りぬ。蓋し、已むを得ざればなり。

其の後、一旦、女羽衣を取り、雲に乗りて去りぬ。其の漁人も亦登仙しけりと云ふ。

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天女が天衣を掛けたという松、二代目らしい。

御穂神社までの参道には松並木が続く。

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田口益人大夫、上野の国司に任けらゆる時に、駿河の清見の崎に至りて作る歌二首

廬原の 清見の崎の 三保の浦の ゆたけき見つつ もの思ひもなし  巻3−296

昼見れど 飽かぬ田子の浦 大君の 命畏み 夜見つるかも  巻3−297

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廬原の清見

静岡市清水区の北部、古くは廬原郡といった。

この辺り、現在は倉庫群が建ち並び古の浜辺は見つからないが、清水区興津の清見寺に清見の名をとどめる。

古くはこの寺のすぐ前が浜辺であったという。埋立てと道路で面影はない。

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清見寺

万葉集に詠まれた清見の崎とはこの辺りのことである。

臨済宗の清見寺は立派なお寺で、

万葉以降も兼好法師、西行法師、足利義教、与謝野晶子などなど多くの文人にこの地が詠まれている。

境内には歌碑もたくさんあり、文学の寺である。境内にある石像の五百羅漢も見事である。

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万葉歌碑清見寺前の清見潟公園に歌碑が立つ。巻3−296

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