妹と背の山

和歌山県伊都郡かつらぎ町

人ならば 母が愛子ぞ あさもよし 紀の川の辺の 妹と背の山  巻7−1209

大和から真土峠を越えて紀ノ川沿いに下ると、川の両岸にせまる山と山がある。

大和側から見ると左手が「妹の山」、右手が「背の山」と呼ばれる。

仲良く並んだその姿は、夫婦の山とも兄妹の山とも云われる。

大和を発った旅人はこの地まで2〜3日を費やした。

そろそろ人恋しさが募る頃、妹と呼ばれ背と呼ばれるこの山があの人のことを想いださせてしまう。

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妹背の山を詠う万葉歌と歌碑

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かつらぎ町 背の山頂上

背の山を越ゆる時に、阿閉皇女の作らす歌

これやこの 大和にしては 我が恋ふる 紀伊道にありといふ 名に負ふ背の山  巻1−35

此也是能 倭尓四手者 我戀流 木路尓有云 名二負勢能山

かつらぎ町船岡山 厳島神社

背の山に 直に向へる 妹の山 事許せやも 打橋渡す  巻7−1193

勢能山尓 直向 妹之山 事聴屋毛 打橋渡

かつらぎ町窪 道の駅「紀ノ川万葉の里」

妹に恋ひ 我が越え行けば 背の山の 妹に恋ひずて あるが羨しさ  巻7−1208

妹尓戀 余越去者 勢能山之 妹尓不戀而 有之乏左

かつらぎ町高田 国道24号線沿

人ならば 母が愛子ぞ あさもよし 紀の川の辺の 妹と背の山  巻7−1209

人在者 母之最愛子曽 麻毛吉 木川邊之 妹与背山

かつらぎ町萩原 御前坂踏切南

背の山に 黄葉常敷く 神岳の 山の黄葉は 今日か散るらむ  巻9−1676

勢能山尓 黄葉常敷 神岳之 山黄葉者 今日散濫

かつらぎ町船岡山の南擁壁面の万葉歌はでかい。(巻7−1209)

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