名高の浦 黒牛潟 和歌山県海南市
JR海南駅を降りると、そこは海南市名高町という。万葉で詠まれた「名高の浦」の名を残す。 でも、そこには海はない。 和歌浦湾の南へ続く海岸線は海南市辺りで大きくその姿を変える。 関西電力の火力発電所・住友金属の鉄塔。さらには現在市の中心街となっている駅前商店街・市役所等の官庁。そして石油精製の大きなタンク。 これらはすべて海を埋め立てた干拓地に建つ。 万葉の頃の海はもうない。 近年干拓前までこの辺りを黒江湾といった。黒江の名も今に残るが、ここが万葉で歌われた「黒牛潟」である。 海南の人々にとって、万葉集に詠まれたこの地の懐古の情はとても深い。万葉歌碑が多く立つ。 でももう遅い、海は帰らない。 ・・・・・ 万葉歌碑
海南市築地・国道370沿い 紫の 名高の浦の 真砂地 袖のみ触れて 寝ずかなりなむ 巻7−1392 紫之 名高浦之 愛子地 袖耳觸而 不寐香将成 |
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