はちす

ひさかたの 雨も降らぬか 蓮葉に 溜まれる水の 玉に似たる見む  巻16−3837

蓮葉は かくこそあるもの 意吉麻呂が 家なるるものは 芋の葉にあらし  巻16−3826

ハス

スイレン科ハス属

古い時代に中国から渡来した多年生の水草。

原産地はインドといわれる。

池沼や水田に栽培される。

根茎は白色で節が多く、先端が肥厚していわゆる蓮根となる。

葉は扁円形で径20〜50a。

長い花柄が水上に抜きでて、紅色、紅紫色、白色などの大きい美しい花をつける。

果実は楕円形で、果皮はかたい。

和名は蜂巣の略で、果実の入った花床がハチの巣に似ていることによる。

花期 7〜8月。

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愛知県八開村赤目はレンコンの産地で、一面にレンコン畑が広がります。

当地にある「一心寺」には万葉歌碑があり、ハスを称えます。

季節には当地の路傍にレンコンの直売所が出来、妻は大はしゃぎして買求めていました。

知人と言っても大先輩ですが、

滋賀県守山市の市花「近江妙蓮」を研究されている中川原正美先生、

著書「近江妙蓮」(サンライズ出版)があります。

琵琶湖の東岸・烏丸半島では9fにも及ぶハスの群生が見られ季節には多くの人で賑わいます。

巻16−3826は愉快な歌です。

確かに蓮の葉と芋の葉はよく似ています。

内の嫁さんは芋の葉、愚妻という言葉を歌にするとこのようになるのですね。

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『万葉集』に詠まれた「はちす」は四首

み佩かしを 剣の池の 蓮葉に 溜まれる水の ゆくへなみ ・・・  巻13−3289

蓮葉は かくこそあるもの 意吉麻呂が 家なるるものは 芋の葉にあらし  巻16−3826

勝間田の 池は我れ知る 蓮なし しか言ふ君が 鬚なきごとし  巻16−3835

ひさかたの 雨も降らぬか 蓮葉に 溜まれる水の 玉に似たる見む  巻16−3837

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