いちし

道の辺の いちしの花の いちしろく 人皆知りぬ 我が恋妻は 巻11−2480

ヒガンバナ

ヒガンバナ科ヒガンバナ属

群生する多年草。昔、中国から渡来したものが広がったという。

りん茎から30〜50aの花茎をだし、赤色の花を輪状につける。花のあと、線形の葉を広げる。

和名は彼岸のころ花が咲くのでつけられた。花期 9月

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拙旅記「韓国・扶余慶州の旅」から

大田駅に着きました。権 寧美さんが私たちを迎えに来てくれていました。寧美さんの友人の車で扶余に向かいます。

万葉の花「いちしのはな」の話題になりました。

日本では、彼岸花・マンジュシャゲといいますが、もっと可哀想な名前もついています。

墓花とか、死人花なんて気味の悪い名まであります。

花は真っ赤でとても奇麗な花なのに、私はとても好きな花ですが、あまり可愛がられていない花でしょう。

ところが、韓国ではとてもすばらしい名前の花なのです。 「相思花(サンサファー)」。読んで字のごとしです。

相思花は、まず最初に花の茎が伸び、真っ赤な花を咲かせます。花が終ってから葉が出始めるのです。

相思いながらなかなか逢えない花と葉、真っ赤な愛、そんな激しくもあり、辛い恋の花なのですね。

彼岸花、墓花なんて名前からはとても読み切れなかった万葉歌(柿本人麻呂歌集)も、

相思花という名を知って、初めて激しい恋の歌と理解できました。

この花は、どの地でも見られますが、わたしが感動した地を挙げますと、

「吉野口から五條市に抜ける街道沿いの山間」、「熊野古道中辺路沿い」、「福岡県香春町鏡山の河内陵墓付近」などです。

熊野古道に咲いていた白いヒガンバナ

明日香の岡寺の庭に黄色のヒガンバナが咲いていた。外来種のようだが。

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『万葉集』に詠まれた「いちし」は上記の一首のみ。

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