やまぢさ

山ぢさの 白露重み うらぶれて 心も深く 我が恋やまず  巻11−2469

イワタバコ

イワタバコ科イワタバコ属

山地の湿った岩壁に生える多年草。

大きな葉が1〜2枚つく。

タバコの葉に似ていることから「岩煙草」と呼ばれる。

夏7〜8月、10〜20aの花茎をのばし、

2〜20個の紅紫色の花を散形花序に咲かせる。

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やまぢさは、ちさ(エゴノキ)ともいわれる。

またイワタバコ、アブラチャンとする説もある。

イワタバコの花も蕾も、白露の重みなくても、うなだれたように咲いている。

巻11−2469の歌の「やまぢさのうらぶれて」はこのイワタバコの花様がピッタリだ。

アブラチャン

クスノキ科シロモジ属

別名をヂシャといい、「やまぢさ」といわれる。

山野に生える落葉低木で、春3〜4月葉に先立って淡黄色の小さな花を散形状につける。

昔はこの木の果実や樹皮の油を灯用にしたことからアブラチャンという。

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私は、万葉歌のやまぢさからはこの花を想像できない。

早春、里山に入ると一面を黄色く染めるこのアブラチャンに出会う。

春が来たなぁと感じさせてくれる、それはそれで印象のいい木ではある。

『万葉集』に詠まれた「やまぢさ」は二首

息の緒に 思へる我れを 山ぢさの 花にか君が うつろひぬらむ  巻7−1360

山ぢさの 白露重み うらぶれて 心も深く 我が恋やまず  巻11−2469

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