かきつはた

カキツバタ

アヤメ科アヤメ属水湿地に群生する多年草。

高さ40〜90aの花茎の先に、青色か紫色の花を2〜3個つける。

外花被片は3個。楕円形で垂れ、長さ5〜7a、中央から爪部にかけ、白から淡黄色の斑紋がある。内花被片は3個、倒披針形で直立する。

和名は書き付け花の転訛である。

書き付け花とは、昔この花の汁を布にこすりつけて染めたことによる。花期 5〜6月。

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京都市北区・上賀茂神社の境外摂社大田神社の参道脇の池は大田ノ沢とよばれ、群生するカキツバタは国の天然記念物に指定されている。

神山や おほたの沢の かきつはた 深きたのみは 色にみゆらむ  藤原俊成

大田神社

アヤメとノハナショウブとカキツバタの見分け方

 
 アヤメ
 
 ノハナショウブ
 
 カキツバタ
   

花弁の付け根の模様で見分けることができます。

また生えているところも違います。

カキツバタは水際か一部茎が水中にあります。ノハナショウブは湿潤地、アヤメは陸地で湿潤地には生えません。

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『万葉集』に詠まれた「かきつはた」は七首

常ならぬ 人国山の 秋津野の かきつはたをし 夢に見しかも  巻7−1345

住吉の 浅沢小野の かきつはた 衣に摺り付け 着む日知らずも  巻7−1361

我れのみや かく恋すらむ かきつはた 丹つらふ妹は いかにかあるらむ  巻10−1986

かきつはた 丹つらふ君を いささめに 思ひ出でつつ 嘆きつるかも  巻11−2521

かきつはた 佐紀沼の菅を 笠に縫ひ 着む日を待つに 年ぞ経にける  巻11−2818

かきつはた 佐紀沢に生ふる 菅の根の 絶ゆとや君が 見えぬこのころ  巻12−3052

かきつはた 衣に摺り付け ますらをの 着襲ひ猟する 月は来にけり  巻17−3921

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