かには
敷栲の 枕もまかず 桜皮巻き 作れる船に 真楫貫き 我が漕ぎ来れば・・・ 巻6−942
ウワズミザクラ
バラ科サクラ属落葉高木。
山野に生え、高さ20b。樹皮は暗紫褐色で横に長いはっきりした皮目がある。
4〜5月、葉が開いてから本年枝の先に長さ6〜8aの総状花序をだし、白色5弁の花を多数密に開く。
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滋賀県の湖北(マキノ町)から若狭(敦賀)に向う道、昔の北陸道・愛発関辺りでこのウワミズザクラの群生に出逢った。
大伴家持が越中の国府に向うとき、
また、
中臣宅守が狭野弟上娘子との別れを嘆きつつ越前に向ったとき、
きっとこの道でこのウワズミザクラを見たことだろう。この季節であれば。
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『万葉集』に詠われた「かには」は上記の一首のみ。
万葉の花