なぎ

苗代の 小水葱が花を 衣に摺り なるるまにまに あぜか愛しけ  巻14−3576

ミズアオイ

ミズアオイ科の一年草。

湖沼、河川、水路の浅水域や水田などに生育する。

よく似ているコナギは花が葉の下で咲き、ミズアオイは葉の上で咲く。

美しい青紫色の花は一日花で、お盆すぎから咲き始め、9月の半ばまで咲いている。

昔は菜葱(なぎ)と呼び、葉を食用にしたという。

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このミズアオイが河川や水路の改修や除草剤の使用などで激減していて、

環境省のレッドデータブックでは、準絶滅危惧に分類されている。

この歌によれば、ミズアオイの花は摺り染めにも使われていたようだ。淡い青紫色。

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『万葉集』に詠まれた「なぎ」は四首

春霞 春日の里の 植ゑ小水葱 苗なりと言ひし 枝はさしにえむ  巻3−407

上つ毛野 伊香保の沼に 植ゑ小水葱 かく恋ひむとや 種求めけむ  巻14−3415

苗代の 小水葱が花を 衣に摺り なるるまにまに あぜか愛しけ  巻14−3576

醤酢に 蒜搗き合てて 鯛願ふ 我れにな見えそ 水葱の羹  巻16−3829

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