もも

春の園 紅にほふ 桃の花 下照る道に 出で立つ娘子  巻19−4139

モモ

バラ科サクラ属落葉低木。

古く中国から渡来し、観賞用や果樹として広く栽培されている。

花は4月上旬、前年枝の葉のわきに1〜3個咲く。

直径3〜5aで、葉より先か同時に咲く。

花色は普通淡紅色だが、変化が多い。

基本種の花弁は5個で平開する。

果実は球形で大形。7〜8月、黄白色〜紅色に熟し、食用になる。

表面にビロード状の細毛が密生する。

片側に縦の溝がある。

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友人が脱サラをして岡山で桃園業を始めた。

もちろん義親から譲り受けた桃畑があるからだが、

それでも大変なことに挑戦である。

毎年、収穫の桃を送ってくれる。

美味い。

枝の剪定、受粉、幼実の選定、袋包み、などなど苦労話を聞いているだけに味わって食する。

夏、台風が来ると岡山の桃が心配になる。

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中国・シルクロードを夏旅をすると、市場にはたくさんの果物が並ぶ。

西瓜、はみうり、すもも、そして蟠桃。

孫悟空の『西遊記』に登場する桃だ。この蟠桃を食べると不老長生になるという。

私はこの蟠桃を、岡山の友人に頼んで苗を取り寄せてもらい、育成してもらった。

桃栗3年、ほんとうに3年目に見事な蟠桃が実った。しかもプロが作る桃、中国で食べた蟠桃より

大きくて、ずっとずっと美味い。

毎年この蟠桃をいただくことになった。長生きできそうである。

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『万葉集』に詠まれた「もも」は七首
向つ峰に 立てる桃の木 ならめやと 人ぞささやく 汝が心ゆめ  巻7−1356

はしきやし 我家の毛桃 本茂く 花のみ咲きて ならずあらめやも  巻7−1358

我がやどの 毛桃の下に 月夜さし 下心よし うたてこのころ  巻10−1889

大和の 室生の毛桃 本繁く 言ひてしものを ならずはやまじ  巻11−2834

桃花染めの 浅らの衣 浅らかに 思ひて妹に 逢はむものかも  巻12−2970

春の園 紅にほふ 桃の花 下照る道に 出で立つ娘子  巻19−4139

桃の花 紅色に にほひたる 面輪のうちに ・・・  巻19−4139

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