たけ

我がやどの いささ群竹 吹く風の 音のかそけき この夕かも  巻19−4291

タケ

イネ科

タケは全国どの地でも見られるから、説明いらないだろうけど、

タケはイネ科という。

植物学はまったく分からないから、米や麦と竹が親戚とはどうも理解できない。

タケといえば、一番にあの太いモウソウチクが浮ぶが、

どうも万葉の頃にはなかったらしい。江戸時代の渡来という。

ということは、万葉人はモウソウチクの美味な竹の子は食したことがなく、

ハチク(淡竹)やマダケ(真竹)の竹の子を食したのだろう。

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『万葉集』に詠まれた「たけ」は十八首

秋山の したへる妹 なよ竹の とをよる子らは いかさまに 思ひ居れか ・・・  巻2−217

・・・ 斎瓮を 斎ひ掘り据ゑ 竹玉を 繁に貫き垂れ ・・・  巻3−379

なゆ竹の とをよる御子 さ丹つらふ 我が大君は こもりくの 泊瀬の山に ・・・  巻3−420

梅の花 散らまく惜しみ 我が園の 竹の林に うぐひす鳴くも  巻5−824

さす竹の 大宮人の 家と住む 佐保の山をば 思ふやも君  巻6−955

・・・ さす竹の 大宮人の 踏み平し 通ひし道は 馬も行かず ・・・  巻6−1047

・・・ 我が大君 君ながら 聞かしたまひて さす竹の 大宮ここと 定めけらしも  巻6−1050

我が背子を いづち行かめと さき竹の そがひに寝しく 今し悔しも  巻7−1412

大和には 聞こえも行くか 大我野の 竹葉刈り敷き 廬りせりとは  巻9−1677

・・・ 草枕 旅にし行けば 竹玉を 繁に貫き垂れ 斎瓮に ・・・  巻9−1790

あらたまの 伎倍の竹垣 網目ゆも 妹し見えなば 我れ恋ひめやも  巻11−2530

さす竹の 世隠りてあれ 我が背子が 我がりし来ずは 我れ恋ひめやも  巻11−2773

・・・ 竹玉を 間なく貫き垂れ 天地の 神をぞ我が?む いたもすべなみ  巻13−3284

植ゑ竹の 本さへ響み 出でて去なば いづし向きてか 妹が嘆かむ  巻14−3474

さす竹の 大宮人は 今もかも 人なぶりのみ 好みたるらむ  巻15−3758

・・ うちひさす 宮女 さす竹の 舎人壮士も 忍ぶらひ かへらひ見つつ ・・・  巻16−3791

御園生の 竹の林に うぐひすは しば鳴きにしを 雪は降りつつ  巻19−4286

我がやどの いささ群竹 吹く風の 音のかそけき この夕かも  巻19−4291

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