やまたちばな

この雪の 消残る時に いざ行かな 山橘の 実の照るも見む  巻19−4226

ヤブコウジ

ヤブコウジ科ヤブコウジ属

山地の木陰に群生し、高さ10〜20aになる。

地下茎をのばしてふえる。

7〜8月、葉のわきから花序をだし、5〜8_の花を散形状に2〜5個下向きに開く。

花冠は白色で5裂する。

果実は5〜7_の球形で、10月頃赤く熟す。

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滋賀県栗東市の金勝寺に紅葉を求めて出かけたが、どうも今年の紅葉は見栄えがしない。

少し早すぎたのかもしれないが、枯れた褐色の葉も目立ち、写真に収めることはできなかった。

秋晴れの気持ちの良い日和なので天狗岩まで足をのばした。

その山道途中の木陰で、松葉や落葉に隠れるようにヤブコウジの赤い実を見つけた。

ヤブコウジの写真は、

巻19−4226に詠われている「雪の消残る時」に白い雪と赤く輝く実を撮りたいとは思っているが、

小生の住む大津では富山県高岡市のようには雪が降らず、

なかなかそのチャンスがない。

また、たまたま雪が降ったとしても寒くて雪の中をヤブコウジ探しに出かけるほどに気持ちが定まらない。

金勝山系の赤く輝くヤブコウジの実を紹介する。

撮れました、ようやく消え残る白い雪とヤブコウジが。

雪国の人、高岡の人などはこんなシーンうんざりするとおっしゃるだろうけど、

私のこの辺りで消え残る雪があるのもめずらしいし、

そこにヤブコウジが・・・

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『万葉集』に詠まれた「やまたちばな」は五首
 
あしひきの 山橘の 色に出でよ 語らひ継ぎて 逢ふこともあらむ  巻4−669

紫の 糸をぞ我が縒る あしひきの 山橘を 貫かむと思ひて  巻7−1340

あしひきの 山橘の 色に出でて 我は恋ひなむを 人目難みすな  巻11−2767

この雪の 消残る時に いざ行かな 山橘の 実の照るも見む  巻19−4226

消残りの 雪にあへ照る あしひきの 山橘を つとに摘み来な  巻20−4471

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