やますげ

山菅の 実ならぬことを 我れに寄せ 言はれし君は 誰れとか寝らむ  巻4−564

ヤブラン

ユリ科ヤブラン属

山地の木陰に生える多年草。

根茎は太く短い。

葉は線形で長さ30〜50a、深緑色で光沢がある。

花茎は高さ30〜50aになり、8〜12aの花序に多数の小さな花をつける。

花は1節に数個ずつ集ってつく。

花被片は淡紫色の楕円形で長さ4_ほどである。

果実は種子が露出し、径6〜7_あり紫黒色に熟す。

和名はやぶに生え、ランの葉に似ていることによる。

花期 8〜10月。

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ヒメヤブラン

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『万葉集』に詠まれた「やますげ」は十三首
 
山菅の 実ならぬことを 我れに寄せ 言はれし君は 誰れとか寝らむ  巻4−564

ぬばたまの 黒髪山の 山菅に 小雨降りしき しくしく思ほゆ  巻11−2456

山菅の 乱れ恋のみ せしめつつ 逢はぬ妹かも 年は経につつ  巻11−2474

あしひきの 名負ふ山菅 押し伏せて 君し結ばば 逢はずあらめやも  巻11−2477

山川の 水蔭に生ふる 山菅の やまずも妹は 思ほゆるかも  巻12−2862

あしひきの 山菅の根の ねもころに 我れはぞ恋ふる 君が姿に  巻12−3051

あしひきの 山菅の根の ねもころに やまず思はば 妹に逢はむかも  巻12−3053

山菅の やまずて君を 思へかも 我が心どの このころはなき  巻12−3055

妹待つと 御笠の山の 山菅の やまずや恋ひむ 命死なずは  巻12−3066

玉葛 幸くいまさね 山菅の 思ひ乱れて 恋ひつつ待たむ  巻12−3204

み吉野の 真木立つ山に 青く生ふる 山菅の根の ねもころに ・・・  巻13−3291

愛し妹を いづち行かめと 山菅の そがひに寝しく 今し悔しも  巻14−3577

咲く花は うつろふ時あり あしひきの 山菅の根し 長くはありけり  巻20−4484

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