()()()()()()()()()()()()()()()板持連安麻呂(いたもちのむらじやすまろ)

 

    梅花の歌三十二首

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  春なれば うべも咲きたる 梅の花 君を思ふと 夜寐も寝なくに   巻5−831

        壱岐守板氏安麻呂

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板氏安麻呂、正式名は板持連安麻呂である。

天平二年(730)一月、大宰府・大伴旅人の邸宅で催された梅花宴での歌三十二首の一首である。

安麻呂は壱岐守、壱岐は下国であるから、その守は従六位下相当の官。

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5年後の天平七年(735)九月、『続日本紀』に登場する。

是より先、美作守従五位下阿倍朝臣帯麿ら、四人を故殺しき。その族の人、官に詣でて申訴す。而るに、右大弁正四位下大伴宿禰道足、

中弁正五位下高橋朝臣安麻呂、少弁従五位上県犬養宿禰石次、大史正六位下葛井連諸会、従六位下板茂連安麿、少史正七位下志貴

連広田等六人、訴人の事を理らぬに坐せらる。是に、所司に下して科断するに、承伏すること既に訖りぬ。詔有りて並に宥したまふ。

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殺人事件で、その一族から訴訟されたのに受理しなかったとして罪に問われた六人の一人に、板茂連安麿とある。大史とは、太政官右弁

官局の官職である。

少々のお咎めで許されたようだ。

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『新撰姓氏録撰』河内国諸蕃に、「板茂連  伊吉連同祖。楊雍之後也」とあり、左京諸蕃に、「伊吉連  出自長安人、劉家楊雍也」とある。

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また遡って、養老三年(719)五月の条に、「従五位下板持史内麻呂ら十九人には連の姓を賜ふ」とあり、板持史であったことが分かる。

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万葉集 渡来人 板持連安麻呂

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