綱掛祭り
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奈良県桜井市江包
なんじゃ、これは?
立春を過ぎると、農耕を営む人々はまた新しい一年を迎え、その準備が始る。太陽は恵みの陽射しを日一日と強くし、土はその温もりを受ける。 桜井市の江包と大西の集落では、とてもユニークな「神迎え」の神事が行われる。 (大西集落) 市杵島神社 9:00 女綱の嫁入り準備は整った。祝い酒が配られ、担ぎ手たちは女綱を高々に担ぎ上げ境内を一周した。女綱は、去年の実りの稲藁、感謝を込めて作られた。周囲4〜5bはあろうか、長さは6b、なんと重さは600`にもなるという。尻尾も長い。およそ100bもある。 神主の祓えを先導に、村中を練り歩く。担い手たちからは「え〜いやこら・・・」の掛け声が飛ぶ。 相当に重い花嫁さんで、50bほど進むと休憩が入る。その都度神酒が振舞われ、担い手たちの顔がほんのり赤くなる。その分ますます威勢があがる。 途中、田んぼに尻尾が引き出された。丸い土俵が作られる。土俵の内には水がどんどん入れられる。どろんこの土俵を作っているのだ。ここで相撲が行われる。 先ずは、年男と新婚さんが呼び出された。どろんこの相撲だ。泥仕合である。 この顔、たくましいですよ。今年も豊作間違いなしですよ。 担い手全員どろんこ、神酒も美味い。泥だらけの担い手たちは再び花嫁を担ぎ上げ結婚式場に向った。私もちょっと尻尾を担がせてもらった。尻尾でも重いよ。 (江包集落) 素盞嗚神社 11:00 予定通り、花嫁一行は結婚式場である素盞嗚神社に到着した。そしてここで、花婿を迎える準備が始った。 実は、花婿さんは一昨日に出来上がった。そして仲人さんから花婿さんのサイズを連絡してきた。直径の長さをである。そして昨日、そのサイズに合う花嫁さんを作ったのだという。 (江包集落) 春日神社 そのころ、花婿さんの控え室になっている春日神社では、男綱が今か今かと花嫁を待っていた。そして、花嫁到着の一報が入ると、もう花婿はじっとしていられない。担い手に背負われて、勢い鳥居を飛び出して行った。 こんな時、男がそわそわするものではない。どっしり構えて花嫁を迎えないと、生涯嫁の尻に敷かれることになる。急く気持ちはよう分るけど、ちょっとここで相撲でもして余裕を見せなあかん。ということで、 花婿、どろんこ相撲にも気はそぞろ、早よ花嫁に逢いたくて逢いたくて。 挨拶もそこそこに、いきなりふたりは結ばれる。 ついに、ふたりは仲睦まじく一体となった。これで、子孫繁栄、五穀豊穣は必ず叶う。 完 |