長寿寺
滋賀県湖南市東寺5丁目
 
 
常楽寺を後にして、長寿寺に向かう。ここも地名の通り、常楽寺の西寺に対して東寺と呼ばれている。
この寺も、聖武天皇の天平年間(729〜748)に良弁によって開かれた勅願寺である。
その昔、聖武天皇に子供がなく良弁に祈願させた結果、まもまく皇女が誕生した。天皇は長寿寺を建立し、皇女誕生に因む子安地蔵尊を行基に刻ませて本尊とし、皇女の長寿を願って長寿寺と寺名した。
本尊の子安地蔵尊は秘仏とされ、今日、ここでは開帳をしていない。参拝・拝観の者の都合だけで言うと、西寺と東寺と同時開帳がいいのになぁと思うのだが。
 
山門本堂弁天堂
 
 
山門に立つと、木々のトンネルのような落ち着いた参道が続き、もみじが多く、紅葉の頃はもっとすばらしいかなと思いながら歩を進める。
途中、左に白山神社の鳥居があり、以前訪れた記憶が戻る。
参道を進むと、正面に本堂が現れる。軒の低い落ち着いた形姿の、寄せ棟造りの本堂で国宝に指定されている。本堂右の池の中島には、弁天堂がある。唐破風付入母屋造りで、小さな堂ではあるが優美な建物(重文)である。
資料によると、本堂内には秘仏本尊子安地蔵尊が祀られ、両脇には、左に釈迦如来坐像右に阿弥陀如来坐像(共に重文)が安置されているという。また、別に、収蔵庫には丈六阿弥陀如来坐像が座すという。残念ながら、全て拝観は叶わず、堂宇を眺めるばかりである。
実は、この寺にもすばらしい三重塔があったのである。本堂左後方の叢林に塔跡の礎石を残す。この塔は、織田信長のよって安土城の総見寺へ移築されたという。
隣接して白山神社の境内に続き、鎮守社としての役割がうかがえる。神社の拝殿がまた趣があり、これは室町時代の建造らしい。
 
白山神社拝殿本殿
 
 
この寺社はきっと紅葉のころにもう一度訪れようと思いながら、次ぎの甲西町善水寺に向かった。

 
 
秋、紅葉の長寿寺を訪ねました。
 
 
 
最近のことでしょう、この長寿寺と常楽寺と善水寺を「湖南三山」と称するようになりました。
前回訪れた春とは趣きが違い、見事な紅葉が迎えてくれました。寺宝の公開もされていてたくさんの人が訪れています。国宝本殿内の阿弥陀如来と釈迦如来が拝見でき、また客仏と云われる丈六阿弥陀如来坐像も紹介されています。この阿弥陀如来坐像は木造でその大きさは日本一とのこと。
住職の奥様でしょう、丈六の前で楽しい解説をしていただきました。

近江の寺一覧に戻る

万葉集を携えて

inserted by FC2 system