常楽寺
湖南市西寺
 
  
新緑が美しいさわやかな日、湖南市を訪れた。

西寺にある常楽寺、過日の新聞記事を思い当たっての訪問である。記事の内容は、この寺の秘仏「木造千手観音坐像」が33年ぶりに開帳されているとのこと。33年に一度のご開帳ということは、今回を外して次ぎの機会となると、88才ということになる。きっと、この観音さまのお側にいることになっているだろうし、悪行のお叱りで、閻魔さまのお側にいるのかもしれない。

地名の示す通り、常楽寺は、東方にある長寿寺(東寺)に対して西寺とも呼ばれている。奈良時代、元明天皇の勅願で良弁が開いた寺で、「阿星山五千坊」の中心となる寺である。
     「木造千手観音坐像」
 
瀬田から車で30分ほどの地であり、国道1号線を避け、田上の桐生を通り、栗東のトレセン(競馬)を横切るように湖南市に着く。
新しい芽を吹く木々、レンゲ畑がところどころにあり、初夏の気候を思わせる。田園風景の真ん中にいる。田植の準備が始まろうとしていて、早苗が運ばれてくる。畦の雑草取りに老婆が腰を屈めている。
ご開帳といっても訪れる人もそれほどではなく、数人の老夫婦ばかり。こちらも老夫婦なのでしょう。特別入山料1000円也。Gooは入れません。
 
 
 
山門を入ると、正面の本堂、左奥の中腹の三重塔が見える。本堂は南北朝時代の建物で、国宝指定だ。奥に見える三重塔も室町時代の建造で、これも国宝指定である。その二宇の配置がすばらしく思わずカメラのシャッターを切る。
特別拝観で、本堂の中(内陣)に進む。壇中央に、千手観音坐像が座す。少年のような柔和な顔である。壇両側には、木造二十八部衆立像がそれぞれの表情で28躰。外陣に廻ると、釈迦如来坐像が座す。良弁が愛用したという錫杖なども拝観した。
 
 
 
 
外に出て、やはり目に入るのは形姿がすばらしい三重塔である。
本堂越しに見る塔、階段から見上げる塔。応永7年(1400年)の建造といわれる。
境内には、たくさんの石造仏があり、堂宇周囲、後背の山道に並ぶ。

西寺の隣が東寺の郷、両寺はセットのようなコースで、つぎの長寿寺に向う。

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