金勝寺
滋賀県栗東市荒張
 
 
過日、大津市桐生から登り狛坂寺跡の磨崖仏を訪ねたが、その道をさらに登り詰めると金勝寺に着く。ただし、かなりの道のりで、ちょっと健脚な方向き。今日は、大津市上田大鳥居から車で山門近くまで行ける道を選んだ。参道両脇には老杉が立ち並び、静寂とした趣を味わえる。
 

金勝寺は、天平5年(733年)聖武天皇の勅願によって良弁が開基したが、後、興福寺の僧願安が当地で修法、弘仁年中(810〜824年)国家安寧を祈願するため伽藍を建立、勅願の寺となった。続日本後紀の天長十年九月八日条に、「以在近江国栗太郡金勝山大菩提寺、預定額寺」とあり、もと大菩提寺と称した。興福寺資料には、僧房山上に三十六院、金勝寺二十五別院といった記録もあり、当寺を中核とした仏教圏が形成されていたことがうかがえる。

仁王門本堂
 
本尊木造丈六釈迦如来坐像二月堂
木造軍茶利明王像

金勝寺・茶沸観音

金勝寺から竜王山山頂を越え、さらに狛坂寺跡磨崖仏を目指す道の途中に、この茶沸観音はある。
尾根道に面した花崗岩の岩肌に、高さ57aの小石龕を彫り込み、中に像高32aの立像を厚肉彫りしている。龕の周りにもいくつかの刻まれた仏があるようにも見えるが、彫が浅く摩滅しているようである。
この金勝山山系は巨岩・奇岩が多く、竜王山山頂からの景色は剥き出しになった岩が積み重なるように見え、見事な造形であるが、ごろごろと落ちてこないかと心配したりもする。茶沸観音に辿り着くまでにもたくさんの巨岩を行き過ぎるため、見落としはしないかキョロキョロの山歩きだ。

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万葉集を携えて

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