湖南市三雲 JR三雲駅から、野洲川と並行して走るJR沿いの古道を歩く。およそ20分で園養寺に着く。 まずびっくりするのは、園養寺へ向おうとすると、JRの線路を越えねばならない。それも踏切のない線路をまたぐことになる。 不思議な風景と思い写真を撮っていると案の定、電車がやってきて、私のすぐそばを通りぬけていく。危険な参道である。 園養寺、近江湖南二十七名刹霊場と山門には札が掲げられている。西国三十三ヶ所観音霊場第32番でもあるという。 延暦年間、最澄によって創建されたと伝えられていて、本尊は、大日如来と十一面観音という。 本堂の前には、大きな牛が寝そべっている。 最澄は比叡山延暦寺を建てるための用材調達をこの地に求めた。その用材を切り出す際、運搬に使役されていた牛がここで死んだ。 そのため、牛供養がおこなわれるようになったという。「牛の寺」とも呼ばれるようになった。 境内には石仏や石造物があちこちにある。 少し離れて高台に鐘撞堂があり、遠くの風景を眺めることができる。 ふと近くの山肌を見ると、露出した巨岩が重なるように見える。古墳だ。 この古墳は、園養山古墳群と呼ばれるもののひとつだ。園養山東山麓に位置する古墳群で、現在およそ190基の古墳が確認されているそうだ。 寺の案内には、この寺に旧水口町指定の文化財があると記される。「絹本著色両界曼荼羅」で、胎蔵界曼荼羅と金剛界曼荼羅である。 また、帰宅してから知ったことだが、この寺には芭蕉の句碑がある。気がつかんかった、残念。 木のもとに汁も膾も桜かな 後日再訪し、句碑の写真を撮った。 帰り道、また恐る恐る線路をまたいで古道に戻った。 |