田上不動寺

大津市田上森町

標高600bの太神山山頂に田上不動寺はある。
車では行けない。東海道自然道を歩く登山ルートである。といっても、ハイキングコース。

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大津市田上の登山口には「迎え不動尊」がおられ、「ようこそ、いらっしゃい」と歓迎してくれる。

さあ出発、山頂をめざす。5月の爽やかな気候、周りの新緑が美しい。時おり淡桃色の花に出会う。タニウツギとモチツツジだ。

登りはじめて40分、「泣き不動」が待ってくれている。泣き不動ってやっぱ泣いているのかなあ。見えますか?

さらに10分ほど登ると、不動寺山門である。山門といっても、不動明王の脇侍二尊が迎えてくれる。

柔和な面立ちの脇侍二尊、左が制多迦童子(せいたかどうじ)、右が矜羯羅童子(こんがらどうじ)である。

脇侍二尊、制多迦童子と矜羯羅童子は、中尊の不動明王と合わせて不動三尊とも呼ばれるが、不動明王の二大童子である。
制多迦童子は右手に金剛棒を持ち、教義には怒りを表して人々の過ちをただすという。怒りを表すにしてはやさしいお顔やな。
矜羯羅童子は合掌して両手の親指・人差指の間に独鈷杵(どっこしょ)をはさむ。教義には行者に給仕奉仕するために現れる慈悲の化身とされる。可愛い女の子のような童子だ。
そやけど、中尊の不動明王はまだこれからずっと奥の本堂におられるのに、おふたりだけが私を迎えにここまで出てきていただいた。ありがと。

山頂の本堂はえらいすごいところに建っている。大きな磐座(いわくら)を背に、清水寺の舞台を思わせる舞台造りである。この磐座がご神体なのであろう。本堂の中は真っ暗でとても不動明王は拝顔できないが、手を合わす。

本堂の脇にも大きな磐座があり、岩と岩との間を潜りぬける。胎内潜りであろう。今日から生まれ変って、清く正しく生きようと思った。

さらに進むと奥院があり、そこが太神山山頂でもある。標高600b、二等三角点である。

帰り道はぶらぶらゆっくりと周りの木々を見ながら歩く。鳥のさえずりが聞える。うぐいすだけは分るがあとはさっぱり、「その他」の鳥たちの声が聞える。春蝉がしきりに鳴く。春蝉の声はがらがら声、風邪引いてんのちゃうか。うがいしてから鳴いてほしいな。

この太神山の欠点は、山道は木々ばかりでどこにも遠くを見渡せる景観地がないこと。そして山頂も木々に囲まれてなんも見えん。上を見上げて青い空を見るだけである。

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