西光寺跡

 石燈籠 宝篋印塔

滋賀県蒲生郡竜王町鏡

鏡神社から国道を渡り、道の駅「竜王」の駐車場奥に案内板があり、そこから100mほどの山中に「西光寺跡」碑が立つ。

竜王山系の北端星ヶ峰(222.6m)の東山麓が寺域とされ、古代の東山道、近世の中山道の近くに位置する。

伝承では、最澄の開基で、嵯峨天皇の勅願所となって、僧房300を擁する大寺院であり、鎌倉時代から室町時代にかけて

将軍などの宿陣は当寺でおこなわれることが多かったという。

寺跡とされるところに、重要文化財の石燈籠と宝篋印塔が置かれているが、寺院の実態ははっきりしない。

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石燈籠

この石燈籠は、全高282.4cmで、形状は総八角形である。材質は花崗岩で、近江八幡市の瓶割山周辺で産出されたものと推定される。

灯籠の特徴は、竿の部分が八角柱状で、普通の燈籠よりも著しく高く、一面に「応永廿八辛丑年八月八日願主敬白」の銘文が刻されており、

火袋の部分には火口の面と仏像の面が四面ずつ交互に配置されている。火口の面は、上・中・下の三段に分かれ、上段は四面のうち

二面に花菱文を二個並べ、他の二面は一面散り蓮華を刻し、下段は格狭間が設けられている。仏像を刻した四面は、上段に花菱文を

二個横に並べ、下に各一帯ずつ蓮華座上に立つ仏像が高彫りに彫られている。

当初は星ヶ峰の中腹の若宮王子神社本殿前にあったが、平成13年現在の地に移した。

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宝篋印塔

この塔は、総高210cm(相輪上部欠)の堂々とした宝篋印塔で、二段の基壇を築き、その上に孔雀の向かい合っている格狭間を彫った

基礎を置き、塔身、笠、相輪を積み重ねている。基礎の格狭間に孔雀文を刻出する例はあるが、この塔の孔雀文の姿態の優美さは、

他に勝るとも劣らずとされている。更に、最も珍しいのは塔身の四隅に刻った鳥の彫刻である。この鳥は、梟の属と考えられており、

その遺例はわが国でも極めて数が少ない。その源流は、呉越王銭弘俶が阿育王の造塔にちなんで、八万四千基を造立したという

銅造小塔(金塗塔)から来ているとされ、仏教美術上頗る興味深い遺例であろう。

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蒲生郡竜王町 西光寺跡

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