石部宿
湖南市石部
湖南市石部は、東海道五十三次の51番目の宿場であった。
「京立ち石部泊り」と云われ、京都から一日の行程ということだ。当時の人は健脚やなあ。
歌川広重も石部宿を描く。
現在のJR石部駅前には石部宿公園があり、
江戸時代の趣かと思ったけれど、園内に立つ歌碑は万葉集で、
当地石部を詠ったとされる、
白真弓 石辺の山の 常盤なる 命なれやも 恋ひつつ居らむ 巻11−2444
この辺りが奈良時代からひらけていたということであろう。
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JR石部駅近くの道端に、こんな句碑がぽつりとある。なんの説明もない。
合羽つづく雪の夕の石部驛 子規
と、読める。正岡子規のことやろか。正岡子規が冬の石部駅で詠んだ句ということ?
家に帰って、手元にある『子規句集』(文庫本)で調べるが、そんな句は見当たらない。
図書館に行って、『子規全集』第二巻俳句二(講談社)でようやくこの句を見つけた。
「寒山落木」巻五 明治二十九年冬 にこの句はある。
だけど、『万葉集』のような題詞もなく、ほんまに子規がこの片田舎の石部駅で詠んだものなのかは不詳。
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国立国会図書館蔵の「寒山落木」正岡子規自筆本は、
あるある、この頁の八番目に石部驛の句がある。
子規が自ら整理編集し浄書したものという。だけど、前後の句からも紀行の句とは読み取れない。
それにしてもこの自筆、お世辞にもうまい字とは云えん。
そういや、この自筆と句碑の字がよく似ていると思うのだが。
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石部宿 石部駅