榿木原遺跡

大津市南志賀2丁目

国道バイパス沿いに、「榿木原遺跡」がある。

榿木原遺跡は、昭和50年から53年にわたる3次の発掘調査で、大津宮時代(667〜672年)の瓦生産遺跡であることが判明した。

この遺跡は范や型によって粘土から瓦を形づくる工房と、それらを乾燥した後で焼成する瓦窯とで構成されている。焼成した瓦は、すぐ

東方の南滋賀町廃寺で使用されていることが明らかで、この遺跡はこの時期における瓦生産の実態を知る上できわめて重要である。

瓦窯は、大津宮時代の登窯5基、奈良〜平安時代の平窯5基が入交じって3群をなして存在する。

工房跡では、長大な掘立柱建物が重複しながら6棟検出され、その内部や横から瓦に用いる粘土を貯えた粘土溜も発見されている。

この瓦窯群のうちの一窯は、国道161号線バイパス建設で現地での保存が困難なためそっくり切り取り、ここに移して保存した。

これは、地山をトンネル式にくりぬいた登窯で、入口の左右の石は焚口の施設である。その奥の床の平坦な部分は、瓦を焼くために

薪を燃やす燃焼部で、8段の階段は、乾燥させた瓦を並べて焼く焼成部、そして一番奥の上方に上る穴が煙の出る煙道である。

これらの登窯では、さそり文瓦と通称される蓮華文方形軒瓦や、復弁蓮華文軒丸瓦、重孤文軒平瓦、丸瓦、平瓦などが焼かれ、一

部は大津宮に係る建物に用いた可能性もある。平窯では流雲文で飾る軒瓦や鬼瓦、丸瓦、平瓦などが焼かれている。

 

蓮華文方形軒瓦(サソリ瓦)

 

単弁蓮華文軒丸瓦   複弁蓮華文軒丸瓦

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大津 榿木原遺跡

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