斐太の大黒 岐阜県高山市上宝町駒ヶ鼻峠 ぬばたまの 斐太の大黒 見るごとに 巨勢の小黒し 思ほゆるかも 巻16−3844 上宝町本郷の神社前で「駒ヶ鼻峠」への道を尋ねた。 親切に教えていただいたが、子犬を連れて車で向う私を怪訝そうに見ていた。 車1台が通れる細い山道をどんどん登るのだが、行けども行けども目的の碑はなく、 道を間違えたかと不安で幾度引き返そうと思ったか。 山中深くようやくに「史跡 名馬大黒の碑」に辿り着いた。写真の通り、飛騨の山々に囲まれた駒ヶ鼻峠である。 このような山深い地から大和へ神馬を献上したのだろうか。黒毛の名馬「大黒」を。 ・・・・・ 『続日本紀』文武天皇大宝二年夏四月八日に、 飛騨国、神馬を献る。 天下に大赦す。唯し、盜人は赦の限に在らず。 その国司目已上と、瑞を出だせる郡の大領とには、位各一階を進め、祿賜ふこと差有り。 百姓には復三年を賜ふ。 瑞を獲し僧隆観には罪を免して京に入らしむ。また、普く親王以下畿内の有位の者に物賜ふ。 諸国に今年の田租を免し、并せて庸の半を減す。 ・・・ この飛騨国から名馬を献上したら、神馬ということで都では大騒ぎ。 若い文武天皇も大喜びで、大そうなご褒美いっぱいである。 罪人は許されるし、飛騨の百姓は3年間、賦役免除である。全国の今年の税金免除、庸も半分でいいという。 馬一匹でこれだけの税制改革である。どこかの国の総理大臣も、こんな太っ腹になれないものか。 それとそんな神馬、どこかにいませんかね。 ・・・・・ ここ飛騨の山奥、ここがこの神馬の出たところと古くからの言い伝えがあり、この地を駒ヶ鼻という。 岩に「名馬大黒の碑」と刻む。
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