三 川 大宮川

滋賀県大津市坂本

三川の 淵瀬もおちず 小網さすに 衣手濡れぬ 干す子はなしに  巻9−1717

比叡山を水源とする大宮川は、日吉大社の境内を流れ、坂本の街中から琵琶湖に注ぐ。

この大宮川が万葉で詠まれた三川という。

大宮川とは日吉大社や延暦寺に因む名前であろうし、それは万葉の頃よりも後の呼び名である。

万葉で詠まれた「三川」とはミカワではなく、「御津」「三津」ミツカワであり、天皇ゆかりの「津」に注がれる川ということだろう。

天皇とは古くは成務天皇の高穴穂宮が近くにあり、また天智天皇の大津宮も近い。この坂本辺りが琵琶湖の良港であったと想像できる。

そこに注ぐ川がミツ川であり、現在の大宮川といえる。

吉田春彦氏『古代地名を歩く』では、伝教大師最澄の父、三津首百枝の先祖三津首氏が、豪族としてこの坂本辺りに住んでいたという。

日吉神が三津首氏の守護神なら、今の大宮川はかっての三津川だという確実性が増す、ともいう。

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写真は早春の大宮川で堤の木々はまだ枯れ枝、彩りがない。

本当は晩秋の頃、この川面に紅葉が流れ浮くころがいいのだろう。人ごみを気にしなければ。

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