高島山

滋賀県高島市

旅ならば 夜中をさして 照る月の 高島山に 隠らく惜しも  巻9−1691

客在者 三更判而 照月 高嶋山 隠惜毛

藤井五郎先生の著書『淡海万葉の世界』から抜粋

現在、「高島山」と呼ぶ山はないので、どの山をいうのか明らかでないが、

先に仮定(下に記す)したように「夜中」は「三尾」をいっているとすれば、湖からも陸路からも近いところにある山ということになり、

高島平野の南限にある嶽山を主峰として水尾崎(明神崎)で湖に入る連山を高島山と考えるよりほかない。

これより北の方を想定すれば山は西に遠のいて、照る月の「隠らく惜しも」といった作者の感慨はでてこないし、実景にもあわない。

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藤井五郎先生の「夜中」について(『淡海万葉の世界』から)

「夜中」を時刻ととる場合、「三更」とは中国の更点時刻法による表記で、真夜中(二十三時六分〜零時三十九分まで)を指す。

しかし、夜中という時刻を目指してという言い方は他に例がない。

また、「夜中」を地名ととる場合、高島山からそう遠く離れていないところにあることになる。

「夜中」は、万葉仮名の表記では「三更」と書く。「更」と「尾」とは字形がよく似ているので、「三尾」の誤りと見られまいか。

だとすれば「三更」は「三尾」のことをいい、

巻7−1171の歌の「・・・高島の三尾の勝野の渚・・・」のあたりを指して詠んだものと考えられる。

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藤井先生揮毫の歌碑がある。

高島市永田 しろふじ保育園南側

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