風莫かざなしの浜

和歌山県西牟婁郡白浜町綱不知

大宝元年辛丑の冬の十月に、太上天皇・大行天皇、紀伊の国に幸す時の歌

風莫の 浜の白波 いたづらに ここに寄せ来る 見る人なしに  巻9−1673


白浜の海岸

現在の「牟婁の湯」

風莫の浜は、地名ではなく波静かな浜をいう通説普通名詞とされるが、この白浜町綱不知とする説もある。

持統天皇御一行様が紀伊の温泉・牟婁の湯に行幸された時の歌なので、この地白浜の紹介としましょう。

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「風莫の浜」の歌碑は、白浜町綱不知の田辺汽船待合所前にある。

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次の歌碑は明らかにご当地ソングではないが、「室の浦」を「牟婁の浦」と読み替えた歌碑。

牟婁の浦の 瀬戸の崎なる 鳴島の 磯越す波に 濡れにけるかも  巻12−3164

白浜町瀬戸の円月島が見える瀬戸の浦バス停前の小公園にある。

ご当地歌なら巻13−3302の「牟婁の江」を採用された方がいいと思うのだが。下の写真が円月島。

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白浜町平草原の平草原公園には、柿本朝臣人麻呂の歌四首の歌碑がある。

柿本朝臣人麻呂が歌四首

み熊野の 浦の浜木綿 百重なす 心は思へど 直に逢はぬかも  巻4−496

いにしへに ありけむ人も 我がごとか 妹に恋ひつつ 寐ねかてずけむ  巻4−497

今のみの わざにはあらず いにしへの 人ぞまさりて 音にさへ泣きし  巻4−498

百重にも 来及かぬかもと 思へかも 君が使の 見れど飽かずあらむ  巻4−499

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