あしび

磯の上に 生ふる馬酔木を 手折らめど 見すべき君が 在りと言はなくに  巻2−166

アセビ

ツツジ科アセビ属

やや乾燥した山地に生え、高さ2〜9bになる。

3〜5月、枝先に円錐形序をだし、白い花は多数垂れ下がって咲く。

花冠は長さ6〜8_の壺形で先は浅く5裂する。有毒植物。

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馬がこの葉を食べると麻痺するというので「馬酔木」というらしい。

試したところを見たことがありませんが、当を得た漢字名なのでしょう。

拙庭にも2〜3本のアセビがありますが、園芸種でしょう、花先が淡紫色に咲きます。

『万葉集』に詠まれた「あしび」は十首

磯の上に 生ふる馬酔木を 手折らめど 見すべき君が 在りと言はなくに  巻2−166

馬酔木なす 栄えし君が 堀りし井の 石井の水は 飲めど飽かぬかも  巻7−1128

おしてる 難波を過ぎて ・・・ 山も狭に 咲ける馬酔木の 悪しからぬ ・・・  巻8−1428

かはづ鳴く 吉野の川の 滝の上の 馬酔木の花ぞ はしに置くなゆめ  巻10−1868

我が背子に 我が恋ふらくは 奥山の 馬酔木の花の 今盛りなり  巻10−1903

春山の 馬酔木の花の 悪しからぬ 君にはしゑや 寄そるともよし  巻10−1926

みもろは 人の守る山 本辺は 馬酔木花咲き 末辺は 椿花咲く ・・・  巻13−3222

鴛鴦の住む 君がこの山斎 今日見れば 馬酔木の花も 咲きにけるかも  巻20−4511

池水に 影さへ見えて 咲きにほふ 馬酔木の花を 袖に扱入れな  巻20−4512

磯影の 見ゆる池水 照るまでに 咲ける馬酔木の 散らまく惜しも  巻20−4513

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