なし

黄葉の にほひは繁し しかれども 妻梨の木を 手折りかざさむ  巻10−2188

ヤマナシ

バラ科ナシ属落葉高木。

ヤマナシの果肉はかたく、じゃりじゃりしてまずい。

果樹として栽培されているナシは、このヤマナシから改良されたものである。

4月、枝先に直径3,5〜4aの白い花を5〜10個散房状に開く。

花弁は5枚。雄しべは約20個で、葯は紫色を帯びる。

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ヤマナシには出会ったことがない。

新聞などにナシの花が満開という記事がでるので、それに合わせて近くの梨園で写真を撮っている。

それなりに苦労はある。

何百本という梨木の花に受粉をするため、

忙しそうに働いている方々の横で「すみません」と写真を撮らせていただく。

また梨園は鳥から果実を守るため縦横に鉄線や網が張り巡らされていて、

それが写真に写ると興ざめと思って避けて撮ろうと苦戦する。

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『万葉集』に詠まれた「なし」は四首

黄葉の にほひは繁し しかれども 妻梨の木を 手折りかざさむ  巻10−2188

露霜の 寒き夕の 秋風に もみちにけらし 妻梨の木は  巻10−2189

梨棗 黍に粟つぎ 延ふ葛の 後も逢はむと 葵花咲く  巻16−3834

十月 しぐれの常か 我が背子が やどの黄葉 散りぬべく見ゆ右の一首は、少納言大伴宿禰家持、時に当りて梨の黄葉を矚てこの歌を作る。  巻19−4259

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