うけら

恋しけば 袖も振らむを 武蔵野の うけらが花の 色に出なゆめ  巻14−3376

オケラ

キク科オケラ属

山野に自生する多年草。花期は9〜10月で、白や淡紅色の頭花をつける。

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「朮(おけら)まつり」

八坂神社・オケラ火を火縄にいただく(私の家族ではない、掲載ごめんなさい)

京都八坂神社で大晦日から元旦にかけて行う神事。鑚火で朮を焚き、その煙のなびく方角を見て豊凶を占う。

参拝者はその火を火縄に移して持ち帰り雑煮を煮る。

ある年、私たち家族もこのオケラ火をいただこうと八坂神社に大晦日の夜参拝した。

車道・歩道をうめ尽す人の群れに押され押されしながら石段下にたどり着き、社殿の前で、去く年に感謝し、来る年の幸を祈り、

ようやくに火縄にオケラ火をいただいた。

家族交替で火縄をくるくる回しながら帰路についた。火縄を回すのは火が消えないようにするためだが、

駐車場から自宅までの車の中では、少し窓を開け寒い風に耐えながら火繩の先を外に出して消えないように持ち帰った。

その年の灯明と雑煮の火種はもちろんこのオケラ火である。

屠蘇酒

正月の行事でもうひとつ。

正月のお祝いに「おとそ」を飲む。若い者から順に「お祝いします」と云ってこれを飲む。主人の私は一番最後である。

その屠蘇酒とは、山椒・防風・白朮・桔梗・陳皮・肉桂を酒に浸したもの。

白朮がオケラのこと。防風はセリ科の植物。

正月に屠蘇を飲む風習は中国から平安時代に伝わる。

だけど、本家の中国では、元・明時代に廃れてしまって、今はこの風習がない。

日本で正月を迎えた中国の古代史学者がびっくりし、また大感激をしたという。

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『万葉集』に詠まれた「うけら」は三首

恋しけば 袖も振らむを 武蔵野の うけらが花の 色に出なゆめ  巻14−3376

我が背子を あどかも言はむ 武蔵野の うけらが花の 時なきものを  巻14−3379

安斉可潟 潮干のゆたに 思へらば うけらの花の 色に出めやも  巻14−3503

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