さくら

桜花 今ぞ盛りと 人は言へど 我れは寂しも 君としあらねば  巻18−4074

ヤマザクラ

日本の野生サクラの代表で、山地に広く自生し、古くから人々に愛好されている。

新芽は赤、茶色、黄色、緑色など変異が多い。

3月下旬〜4月上旬、直径2.5〜3.5aで白色または淡紅白色の花が散房状に2〜5個咲く。

雄しべは35〜40個で無毛。花弁は5個で円形または広楕円形。萼筒は長鐘形で萼片は全緑。

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吉野のサクラはすばらしい。

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『万葉集』に詠まれた「さくら」は四十四首
・・・ 春に至れば 松風に 池波立ちて 桜花 木の暗茂に ・・・  巻3−257

・・・ うち靡く 春さり来れば 桜花 木の暗茂に ・・・  巻3−260

梅の花 咲きて散りなば 桜花 継ぎて咲くべく なりにてあらずや  巻5−829

・・・ 丹つつじの にほはむ時の 桜花 咲きなむ時に 山たづの ・・・  巻6−971

・・・ 春にしなれば 春日山 御笠の野辺に 桜花 木の暗隠り ・・・  巻6−1047

足代過ぎて 糸鹿の山の 桜花 散らずもありなむ 帰り来るまで  巻7−1212

あしひきの 山桜花 日並べて かく咲きたらば いたく恋ひめやも  巻8−1425

・・・ 国のはたてに 咲きにける 桜の花の にほひはもあなに  巻8−1429

去年の春 逢へりし君に 恋ひにてし 桜の花は 迎へけらしも  巻8−1430

春雨の しくしく降るに 高円の 山の桜は いかにかあるらむ  巻8−1440

この花の 一節のうちに 百種の 言ぞ隠れる おほろかにすな  巻8−1456

この花の 一節のうちは 百種の 言持ちかねて 折らえけらずや  巻8−1457

やどにある 桜の花は 今もかも 松風早み 地に散るらむ  巻8−1458

世間も 常にしあらねば やどにある 桜の花の 散れるころかも  巻8−1459

・・・ 小ぐらの嶺に 咲きをゐる 桜の花は 山高み 風しやまねば ・・・  巻9−1747

我が行きは 七日は過ぎじ 龍田彦 ゆめこの花を 風にな散らし  巻9−1748

・・・ 滝の上の 桜の花は 咲きたるは 散り過ぎにけり ふふめるは ・・・  巻9−1749

暇あらば なづさひ渡り 向つ峰の 桜の花も 折らましものを  巻9−1750

・・・ 峰の上の 桜の花は 滝の瀬ゆ 散らひて流る 君が見む ・・・  巻9−1751

い行き逢ひの 坂のふもとに 咲きをゐる 桜の花を 見せむ子もがも  巻9−1752

絶等寸の 山の峰の上の 桜花 咲かむ春へは 君を偲はむ  巻9−1776

うぐひすの 木伝ふ梅の うつろへば 桜の花の 時かたまけぬ  巻10−1854

桜花 時は過ぎねど 見る人の 恋ふる盛りと 今し散るらむ  巻10−1855

あしひきの 山の際照らす 桜花 この春雨に 散りゆかむかも  巻10−1864

雉鳴く 高円の辺に 桜花 散りて流らふ 見む人もがも  巻10−1866

阿保山の 桜の花は 今日もかも 散り乱ふらむ 見る人なしに  巻10−1867

春雨に 争ひかねて 我がやどの 桜の花は 咲きそめにけり  巻10−1869

春雨は いたくな降りそ 桜花 いまだ見なくに 散らまく惜しも  巻10−1870

見わたせば 春日の野辺に 霞立ち 咲きにほへるは 桜花かも  巻10−1872

春日なる 御笠の山に 月も出でぬかも 佐紀山に 咲ける桜の 花の見ゆべく  巻10−1887

あしひきの 山桜戸を 開け置きて 我が待つ君を 誰れか留むる  巻11−2617

桜花 咲きかも散ると 見るまでに 誰れかもここに 見えて散り行く  巻12−3129

・・・ つつじ花 にほえ娘子 桜花 栄え娘子 汝れをぞも 我れに寄すといふ ・・・  巻13−3305

・・・ 桜花 栄え娘子 汝れをぞも 我れに寄すといふ 我れをぞも 汝れに寄すといふ ・・・  巻13−3309

春さらば かざしにせむと 我が思ひし 桜の花は 散りゆけるかも  巻16−3786

妹が名に 懸けたる桜 花咲かば 常にや恋ひむ いや年のはに  巻16−3787

山狭に 咲ける桜を ただ一目 君に見せてば 何をか思はむ  巻17−3967

あしひきの 山桜花 一目だに 君とし見てば 我れ恋ひめやも  巻17−3970

・・・ 山びには 桜花散り 貌鳥の 間なくしば鳴く 春の野に ・・・  巻17−3973

桜花 今ぞ盛りと 人は言へど 我れは寂しも 君としあらねば  巻18−4074

我が背子が 古き垣内の 桜花 いまだふふめり 一目見に来ね  巻18−4077

今日のため と思ひて標めし あしひきの 峰の上の桜 かく咲きにけり  巻19−4151

桜花 今盛りなり 難波の海 おしてる宮に きこしめすなへ  巻20−4361

龍田山 見つつ越え来し 桜花 散りか過ぎなむ 我が帰るとに  巻20−4395

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