つた・つな

・・・旅ならば 君か偲はむ 言はむすべ 為むすべ知らず 延ふ蔦の 行きの 別れのあまた 惜しきものかも  巻13−3291

テイカカズラ

キョウチクトウ科テイカカズラ属

常緑つる性林内に普通に生える。

茎は長くのび、付着根をだして木や岩にはいのぼる。

5−6月、枝先や上部の葉腋にまばらな集散花序をだし、直径2〜3aの芳香のある花をつける。

はじめ白色、のちに淡黄色になる。

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「定家」という能に、藤原定家と式子内親王の激しい恋の物語がある。

死後の内親王の墓に定家葛がまつわりついたという伝説を脚色する。

名の由来である

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万葉集では、「つた・つな」と詠まれているだけでそれを「テイカカズラ」に限ることはないと思う。

スイカズラ

スイカズラも同じようなつる性の植物で「つた・つな」であってもよいと思うのだが。

ただし万葉の時代にスイカズラがあったかどうかは知らない。

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『万葉集』に詠まれた「つた・つな」は七首

・・・ さ寝し夜は 幾時もあらず 延ふ蔦の 別れし来れば 肝向ふ 心を痛み ・・・  巻2−135

石つなの またをちかへり あをによし 奈良の都を またも見むかも  巻6−1046

・・・ 遠つ国 黄泉の境に 延ふ蔦の おのが向き向き 天雲の 別れし行けば ・・・  巻9−1804

・・・ 為むすべ知らず 延ふ蔦の 行きの 別れのあまた 惜しきものかも  巻13−3291

・・・ 二上山に 延ふ蔦の 行きは別れず あり通ひ いや年のはに ・・・  巻17−3991

・・・ しなざかる 越道をさして 延ふ蔦の 別れにしより 沖つ波 ・・・  巻19−4220

天にはも 五百つ綱延ふ 万代に 国知らさむと 五百つ綱延ふ  巻19−4274

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