つばき

巨勢山の つらつら椿 つらつらに 見つつ偲はな 巨勢の春野を  巻1−54

ツバキ

ツバキ科ツバキ属常緑高木。

2〜4月、枝先に赤色の花が1個づつ咲く。

花弁は長さ3〜5aで5個あり、平開しない。

雄しべは多数あり、花糸の下半部は合着して筒状になり、基部は花弁と合着する。

花糸は白色で葯は黄色。

刮ハは直径4〜5aの球形で、果皮が厚く熟すと3裂して暗褐色の種子を2〜3個だす。

種子から椿油をとる。

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毎年ツバキの一種「侘助」の写真を撮りたいと思うのだが、

冬まだ寒く少々億劫になっているといつもその時季を逃してしまう。

ツバキは春野に咲くというより、春に背いて散ってしまう花という印象を持つのだが。

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『万葉集』に詠まれた「つばき」は九首

巨勢山の つらつら椿 つらつらに 見つつ偲はな 巨勢の春野を  巻1−54

川の上の つらつら椿 つらつらに 見れども飽かず 巨勢の春野は  巻1−56

我妹子を 早見浜風 大和なる 我れ松椿 吹かざるなゆめ  巻1−73

あしひきの 山椿咲く 八つ峰越え 鹿待つ君が 斎ひ妻かも  巻7−1262

・・・ 末辺は 椿花咲く うらぐはし 山ぞ 泣く子守る山  巻13−3222

奥山の 八つ峰の椿 つばらかに 今日は暮らさね ますらをの伴  巻19−4152

・・・ 八つ峰には 霞たなびき 谷辺には 椿花咲き うら悲し ・・・  巻19−4177

我が門の 片山椿 まこと汝れ 我が手触れなな 地に落ちもかも  巻20−4418

あしひきの 八つ峰の椿 つらつらに 見とも飽かめや 植ゑてける君  巻20−4481

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