やまぶき

山吹の 立ちよそひたる 山清水 汲みに行かめど 道の知らなく  巻2−158

ヤマブキ

バラ科ヤマブキ属

落葉低木。

山地の谷川沿いなど、湿ったところに生える。

鮮やかな黄色の花を咲かせ、黄金色を山吹色というほど親しまれている。

4〜5月、前年枝からのびた短い枝の先に直径3〜5aの鮮黄色の花を1個開く。

花弁は5個で平開し、倒卵形で先はまるくてわずかにへこみ、基部は急に細くなる。

和名の山吹は、古くは山振の字があてられ、しなやかな枝が風に揺れる様子から名付けられたという。

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ヤマブキは庭木としても可愛がられ、拙宅にも毎年花を咲かせてくれます。

八重咲きの豪華な品種もありますが、

万葉花としてはやはり一重の清楚なヤマブキが合うと思います。

長野県鬼無里村から長野市に出る街道沿いはそれは見事なヤマブキ街道でした。

『万葉集』に詠まれた「やまぶき」は十八首
山吹の 立ちよそひたる 山清水 汲みに行かめど 道の知らなく  巻2−158

かはづ鳴く 神なび川に 影見えて 今か咲くらむ 山吹の花  巻8−1435

山吹の 咲きたる野辺の つほすみれ この春の雨に 盛りなりけり  巻8−1444

秋風に 山吹の瀬の 鳴るなへに 天雲翔る 雁に逢へるかも  巻9−1700

花咲きて 実はならねども 長き日に 思ほゆるかも 山吹の花  巻10−1860

かくしあらば 何か植ゑけむ 山吹の やむ時もなく 恋ふらく思へば   巻10−1907

山吹の にほえる妹が はねず色の 赤裳の姿 夢に見えつつ  巻11−2786

うぐひすの 来鳴く山吹 うたがたも 君が手触れず 花散らめやも  巻17−3968

山吹の 茂み飛び潜く うぐひすの 声を聞くらむ 君は羨しも  巻17−3971

山吹は 日に日に咲きぬ うるはしと 我が思ふ君は しくしく思ほゆ  巻17−3974

咲けりとも 知らずしあれば 黙もあらむ この山吹を 見せつつもとな  巻17−3976

山吹の 花取り持ちて つれもなく 離れにし妹を 偲ひつるかも  巻19−4184

・・・ 茂山の 谷辺に生ふる 山吹を やどに引き植ゑて ・・・  巻19−4185

山吹を やどに植ゑては 見るごとに 思ひはやまず 恋こそまされ  巻19−4186

妹に似る 草と見しより 我が標めし 野辺の山吹 誰れか手折りし  巻19−4197

山吹は 撫でつつ生ほさむ ありつつも 君来ましつつ かざしたりけり  巻20−4302

我が背子が やどの山吹 咲きてあらば やまず通はむ いや年のはに  巻20−4303

山吹の 花の盛りに かくのごと 君を見まくは 千年にもがも  巻20−4304

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